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課題解決の秘訣は、「寄り添い」と「積み重ね」事業課題を解決するために、デザイナーとしてできること

こんにちは、プロダクトデザイナー7年目の熊谷慶人です。現在、OB/OG訪問ネットワーク「ビズリーチ・キャンパス」というサービスを担当しています。

ひとことにプロダクトデザイナーと言っても活躍の場は様々だと思います。私は事業における課題解決を業務としており、わかりやすく言うと、「事業課題を理解して、ユーザーに寄り添い、課題を設定して、ソリューションを生み出す」ことを業務としています。

今回は、事業戦略レベルの課題に立ち向かい企画を生み出した話を、ひとつの成功事例として紹介します。よく耳にする「課題解決」の一つの型としてみなさまの参考になれば幸いです。

閃きでもセンスでもなく、愚直な寄り添いと検証の積み重ねが良い結果に繋がったのだと思っています。

この記事でわかること

  • 課題解決の全体の流れがわかる
  • 各ステップで「気を付けるべきこと」がわかる
  • 事業戦略に関わる企画を妄想ではなく、実現するための方法がわかる

事業戦略に立ちはだかる課題「運用キャパシティの限界」

はじまりは、2022年2月。ビズリーチ・キャンパスは、今後の戦略として「かつてない企業顧客数の拡大」を掲げました。

しかし、その戦略を実現するためには「運用キャパシティの限界」という壁がありました。

企業顧客の多種多様なニーズに応えるためには、プロダクトだけではなく運用サポートというヒトの力が必要だったからです。そのため、企業顧客を増やす = その企業を受け持つ社内の運用チームを増やさなければ実現は厳しい状況であり、事業拡大のボトルネックになっていました。

かといって運用チームを増やすのは現実的ではありません。

運用チームが使用するプロダクトを改善し、負荷を軽減することで、より多くの企業顧客へ価値を提供していきたい。そんなところから「企業顧客数を拡大するための解決策を生み出す」プロジェクトが発足しました。

事業戦略レベルの課題解決に、デザインのチカラで立ち向かう

課題解決のステップは以下の通りです。理想を描く土台となる「リサーチ」、事業戦略を叶えるレベルの「課題設定」、費用対効果(ROI)を鑑みた「解決策の企画・検証」。これらの3つのステップで行いました。

徹底的で愚直なリサーチ

まずはじめに行ったのは、リサーチです。どんな課題解決でも、現場を知ることが全ての起点であり、今後すべてのステップを支えるからです。

「そもそもユーザー(運用チーム)は何をしているのか」「企業顧客数の拡大のためには何が問題なのか」「なぜその問題を抱えているのか」。プロジェクトに関係する情報を徹底的にリサーチしました。毎日、リサーチ→整理→疑問点出しを何度も繰り返しました。

リサーチは、知るべきこと・知らなくていいことの線引きが非常に重要です。知ることに終わりなどないからです。効率的にリサーチをするためのポイントは、以下の2つだと思います。

1. プロジェクトの目的を常に意識する

リサーチは、ユーザーと事業の二つに寄り添うことが重要です。どちらかだけではありません。リサーチにあたっては、ユーザーにフラットであるべきですし、「企業数を拡大する」目的にフォーカスすべきです。常に目的を意識すれば、自然と疑問が出て、また終わりが見えてくるため、効率的なリサーチが実現できます。

2. 抽象的→具体的の順番で、常に知るべきことを断捨離する

大切なリサーチだからこそ、「全体のどこを知るべきか」をおさえることを意識しました。常に知るべきことの断捨離をしないと、非効率になってしまうと考えたからです。

まずは広い視点で「誰と関わっているか」「業務はどんなステップで行っているか」「どんな顧客と関わるか」と情報を集め、必要な情報を見極めてピックアップしてから細部の情報をリサーチしました。それによって、必要最小限のリサーチとなり情報整理も格段にやりやすくなりました。

これらを心がけてリサーチし、結果2週間で運用業務の全体像と問題点を洗い出し、整理することができました。

高い理想から考える課題設定

次に行ったのは課題設定です。これは課題解決において、最も難しく重要なステップだと考えます。ここで設定した課題が、ソリューションの価値そのものになるからです。逆にここさえうまく行けば、コストが低くて価値の高い、実現可能性のある企画に一気に近づきます。

今回は「かつてない企業顧客数の拡大」のために、高い理想を描くことに注力しつつ、理想定義(To-Be)→現状定義(As-Is)→GAPの特定というステップで進めました。

ここでのポイントは、とにかく考え抜くことです。ヒアリングと同じくらい時間を要するものだと思います。ユーザーと事業にとことん寄り添い、どちらにとっても理想に近づく課題を見つけることがゴールとなります。そのために意識すると良い2つのポイントを紹介します。

1. 曖昧な言葉は使わない。わからないことはもう一度リサーチしよう

 課題設定で使用するあらゆる言葉は、今後の絶対の指針になります。プロダクトオーナーを説得する時、開発者に共感してもらう時、ユーザーに納得してもらう時、あらゆる場面で設定した課題を使用します。なので、誰が見てもわかる、もしくは説明できる状態を目指します。時にはリサーチに戻ることも大事です。

2. 理想定義(To-Be)は飛躍して考える。価値の上限はここで決まる。

価値の最大値はここで決まります。その後のステップでは、ROIよく提供することに視点が狭まることが多いからです。ですので、とにかく高い理想を突き詰めることが大事です。

たとえば「今と同じ価値を多くの顧客に提供できればいいのか?」。我々は「No」と答えを出しました。事業としての真の理想は、「運用チームが持てる企業数が増えるだけではなく、顧客がよりサービスに価値を感じて継続的に利用してもらう」ことだからです。なので、「不要な作業をせず、顧客の課題解決に寄り添い提案できる」ことを理想に定義しました。

上記のポイントを駆使して、今回解決すべきクリティカルな課題を設定できました。ちなみにこの作業は、リサーチと同じくらいの時間をかけて、ユーザーとプロダクトオーナーと連携しながら徹底的に行いました。

事業×ユーザー×開発の視点で効果検証

最後のステップ、ソリューションの作成と検証です。「本当に価値があるのか」「どうするとコストパフォーマンスよく提供できるか」を検証していきます。この企画が実現可能で価値が高いことを実証しなければ、事業としてGOサインを出せないからです。

プロダクトデザイナーとしてプロトタイプを作成するのはもちろんのこと、ユーザーとより価値の高いカタチを、エンジニアとより実現可能性の高いカタチを、あらゆるステークホルダーと連携をしてROIを突き詰めて共創しました。

ここでのポイントは、とことんプロトタイプの改善を積み重ね、そして最後に価値を実証することです。確かに開発してもよいと誰でも確信できる状態を作ることを目指します。

1. 検証相手はユーザーだけじゃない、ROIの視点を持つ

企画を実現するための判断材料は、ユーザー価値だけではありません。ROIの視点から、「どのくらいコストがかかるのか」「どのくらい価値が発揮されるのか」のどちらの検証も必要です。ユーザー、エンジニアをとことん巻き込み、実現できるか・価値はあるかの最適解を突き詰めて、粗くてもいいので数字化することがポイントです。


2.体験の検証はプレゼンで終わらせない、よりリアルな結果を予測する

デザインの価値は、定量化が難しいことがほとんどです。またややこしいことに、この価値はヒアリング次第で誘導できてしまいがちです。ただ、真に目指すべきは企画を通すことよりも課題を解決することなので、より確からしくリアルな検証が必要不可欠だと思います。そのため、今回は最低限の説明と実際に動くプロトタイプで、価値を計測しました。


この検証を経て以下のことを明らかにして、晴れて企画としてGOサインをもらうことができました。

おわりに

今回は、徹底的に事業とユーザーに寄り添い、事業戦略レベルの課題解決を企画したプロジェクトを成功事例として紹介させていただきました。余談ですが、この成果を経て社内のベストデザイナー賞をいただきました。Visionalにおけるプロダクトデザイナーの一つの型として、評価していただけたのだと思います。

まとめとなりますが、ポイントは「課題解決者自身が、徹底的に事業とユーザーに寄り添い、愚直に行動を積み重ねる」。これに尽きると思います。愚直な行動量こそ成果に繋がると信じています。

とはいえ、視点の多さとやることの泥臭さは際限がありません。ただ、事業とユーザーの誰より近くに存在できるのはデザイナーの特権だと思い、私は行動しています。

この記事を読んでみて、何かひとつでも課題解決に役立つ情報があれば幸いです。

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