
デザインの品質を定量化する「コミュニケーションデザイン評価モデル」
株式会社ビズリーチにて、コミュニケーションデザイン部の部長を務めます三井です。 コミュニケーションデザイン部では、デザインの観点を定義し、デザイン品質を定量化する「コミュニケーション評価モデル」を運用しています。今回はコ […]
こんにちは、新卒デザイナーの採用を担当しています松田です。
前回に引き続き、デザイナーを目指す学生のみなさまを対象に開催したオンラインイベントの模様を紹介します。
「デザイナーによる価値創造の舞台裏」と題し、お客様とサービスの接点となる広告などのデザインを担当するコミュニケーションデザイン室所属のデザイナー2名によるトークイベントを開催いたしました。
プロダクトデザイナーによるイベントのレポートは、こちらからご覧ください。
※本記事の情報は、イベント開催時(2021年1月)のものです。
駒形 夏南 / Kana Komagata
文系大学を卒業後、事業会社にデザイナーとして新卒入社したのち、2019年にVisionalにキャリア入社。デザイナーのリーダーとして、「HRMOS(ハーモス)」シリーズの企業向けマーケティング施策のデザインを担当。
人財活用プラットフォーム「HRMOS」シリーズ:https://hrmos.co/
槌谷 夏月 / Natsuki Tsuchiya
多摩美術大学を卒業後、広告会社に営業職として新卒入社。Web系広告会社のデザイナーを経て、2018年にVisionalにキャリア入社。デザイナーのリーダーとして、ビズリーチの企業向けマーケティング施策のデザインを担当し、2020年2月より同チームのマネージャーに就任。
即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」:https://www.bizreach.jp/
人事 松田:
まずは2人が所属するチームの体制と、どんなスケジュールで働いているかを教えてもらえますか。
HRMOS 駒形:
わたしが所属しているHRMOSの企業向けマーケティング施策のデザインチームは4人で、マネージャーが1人と、わたしを入れて手を動かすデザイナーが3人です。
案件によって、その3人でフレキシブルに担当を変えていて、デザインや実装、ディレクション、場合によってはプロジェクトマネジメントをやることもあります。
施策はデザイナーだけではやっていなくて、施策によってさまざまなマーケターと連携しながら進めています。
HRMOS 駒形:
毎朝10時からの朝会で、チームメンバーのその日のタスク確認と納期が近い案件の進捗確認をしています。
その後の予定は大きく2つあり、 1つは打ち合わせ、もう1つはデザイン、実装など担当案件の業務です。
打ち合わせでは、デザイナーとマーケターで協力して仕事をしているので、施策の進捗共有や、新規案件の相談、実施した施策の振り返りをしています。月の目標値に届かなそうなときに、すぐに対策を練るためにも、目標値の共有は定期的にやっています。
ビズリーチ 槌谷:
ビズリーチもデザイナーのチームとは別に、マーケティングの部署があって、マーケターと一緒に企画からアウトプットまでをやっています。
大体関わるマーケターが15人くらいいますが、定期的に連携しているのは3、4人です。デザインチームはデザイナー、フロントエンドエンジニア、それらを兼任しているメンバーも含めて8人の体制ですね。
ただ、デザイナーのチームはビズリーチやHRMOSの事業ごとで閉じているわけではなくて、横のつながりもあります。施策から得たナレッジの共有会や、デザインをレビューしあう場もあり、他のチームがどんなことをやっているか定期的に知ることができます。
ビズリーチ 槌谷:
僕も毎朝10時から朝会をしていて、それ以降は作業と打ち合わせですね。
ビズリーチのマーケティングチームは、オンライン施策の担当、オフライン施策の担当などチャネルごとにチームがあり、複数のチームに参加しているので打ち合わせは多くなります。
とはいえ、作業や考える時間が必要な時もあるので、「クリエイターズタイム」という制度を使って、カレンダーをブロックして時間を確保しています。カレンダーだけ見ると、予定が多く見えますが、作業と打ち合わせの時間をコントロールしながら、働いていますね。
人事 松田:
2人ともマーケターと協力して、企画から制作まで幅広く関わっているんですね。担当事業が違っても、デザイナーの横のつながりがあるのは、Visionalの特徴かと思います。
次に、お客様とサービスをつないで、事業の価値創造に貢献するため、デザイナーとして実際にどんなことをやっているのか。事例とあわせて紹介いただきたいです。
HRMOS 駒形:
他の職種と意見交換しながら、いろんな役割をマルチに担う働き方をしています。最近の事例から、HRMOSのサービス紹介サイトをリニューアルした話をします。
それまでのサービスサイトは、サイトの構造がわかりづらく、競合サービスのサイトと比較しても情報量が不足していました。今回のリニューアルの目的は、お客様の欲しい情報が網羅され、必要な情報にアクセスしやすいサイトにすることで、問い合わせ数を増やすことでした。
HRMOS 駒形:
デザイナーは、主にわたしともう1人のメンバーで、デザインから実装、制作過程でのプロジェクトマネジメントを担当しました。マーケターが情報設計したものをブラッシュアップして、デザインと同時に実装を進めます。
マーケターやもう1人のデザイナーと役割分担はしつつも、気になったことはすぐに相談しますし、いいアイデアや事例があれば共有し合っていて、役割にとらわれすぎない関係です。
マーケターと働くと、何を気にしているかや考え方がわかり、マーケティングの知識も自然と身についてきます。デザイナー同士でも、グラフィックが得意な人、実装が得意な人、プロジェクトマネジメントが得意な人がいて、お互いにアドバイスしあっていますね。
ビズリーチ 槌谷:
他職種と協力しながら、世の中の変化に対応する施策を、スピーディに打ち出すようにしていて、それができた事例があるので紹介します。
これは2020年4月に緊急事態宣言が出たときに作ったWebサイトとバナーです。緊急事態宣言が出て、みなさんも不安になったと思いますが、ビズリーチを利用する企業の方も少なからず、不安になられたみたいで。広告からの申し込み数に影響が出始めていたので、マーケターと協力して制作しました。
ビズリーチ 槌谷:
緊急事態宣言でリモートワークになっても、ビズリーチは利用可能で、リモートで採用ができることを伝える内容にしました。この内容を打ち出してから、Webサイトからの申し込み数が改善しました。このサイトは緊急事態宣言が出て、2〜3週間くらいで公開しましたね。
前職のWeb制作会社で受託の仕事をしていたときは、こまめにお客様と打ち合わせをして、同じ目線に立つのは難しかったです。
こうした変化の激しい状況でも、マーケターや事業部のメンバーと協力して施策を考えて、デザインできる環境や組織があるのは、Visionalの良いところだなと思います。
人事 松田:
他職種と協力して、サービスサイトリニューアルのような大規模なプロジェクトに携われたり、素早く施策を打ち出せたりするのは、確かに事業会社の1つの良さですね。
こういったお客様や事業にとっての価値につながるアウトプットをするため、2人はどんなことを意識して、実践していますか。
HRMOS 駒形:
わたしは2つあって、担当する仕事について、自分の言葉で説明できるまで考えることと、「クリエイティブブリーフ」を活用するようにしています。
まず、担当する仕事を自分の言葉で説明できるまで考えることですが、施策の意図を理解せず、自分の言葉で説明できないまま作ったものは、人の心を動かせないと思うので、強く意識しています。
依頼されたものをただ作るだけだと、自分の言葉で説明することはできません。なので、もらった情報が不足していればすぐに聞きに行って、まず自分が作るものとその目的を理解してから、手を動かすようにしています。
もう1つが「クリエイティブブリーフ」の活用です。
「クリエイティブブリーフ」というのは1つの施策に対して、課題や目的、ターゲット、ターゲットの心情をどう変えたいかなどをまとめたシートです。
HRMOS 駒形:
施策やプロジェクトを始めるときにこのシートを使って、思考を整理したり、マーケターとの認識をすり合わせたりしています。制作の途中で「目的はなんだっけ?」と迷ったときに、このシートを見返して、立ち戻れるので、シートを活用するメリットはとても大きいですね。
「クリエイティブブリーフ」の作成は、施策や案件を始めるときには大事なプロセスで、コミュニケーションデザイン室のデザイナーはみんな活用しています。
ビズリーチ 槌谷:
1つ目は本質的な課題の特定と施策の妥当性を考え抜くこと、2つ目が事実やデータを活用すること、最後の3つ目がユーザー視点を持ってクオリティを担保することです。
最初の「本質的な課題の特定と施策の妥当性を考え抜くこと」でいうと、「課題って本当にこれなのか?」「この施策で課題が解決できるんだっけ?」を常に考えるようにしています。
施策を進めていくと、状況が変わることもあるので、最初に決めたことが変わることがあるんですよね。ですので、本当にその施策で課題を解決できるかは、施策が終わるまで考え続けます。
2つ目の「事実やデータを活用すること」は、特に課題を設定するときに気をつけていることです。
そもそも広告で解決すべき課題が適切でないと、広告の効果は期待できません。解決する課題の裏付けとして、営業に届くお客様の声や、サイトでのお客様の動きなど、事実やデータを活用するようにしています。
最後が「ユーザー視点を持って、クオリティを担保すること」です。
企業側の伝えたいことを主張するだけで、お客様の視点が抜けていたり、そもそもクオリティが低い広告は、反応が弱く、ちゃんと数字に返ってきます。僕も忙しさや慣れから痛い目を見たことはあるので、これも常に気を付けるようにしています。
人事 松田:
どんな施策でも自分が説明できるまで理解することや、なぜやるかの目的や課題を考え続けることは、デザイナーに限らず大切なことだなと思いました。
では最後に、これまで2人が経験や失敗から学んだことを教えてもらえますか。
HRMOS 駒形:
わたしは「目的から逆算して、お客様にとって最適な情報の取捨選択を行うこと」が大事だなと。
メンバーが多いプロジェクトで起きがちで、デザインの途中経過や完成したものを共有すると、いろんなフィードバックをいただきます。特に凄腕の先輩からフィードバックをもらうと「確かにな」と思いますが、もらったフィードバックを全て反映しようとすると、最終的に何が言いたいかわからないアウトプットになるんですね。
わたしもよくやりますし、経験の浅いメンバーを見ていてもよくあるのですが、お客様に価値を伝えられるものをつくる目的の達成に軸を置いて、そこから逆算してフィードバックの取捨選択をすることは大切だなと思います。
ビズリーチ 槌谷:
僕は失敗そのものはしてもいいかなと思っていて。重要なのは失敗を糧にするため、次に備えて、必ず失敗の要因を振り返り、結果を出せる施策を考えることで、ちゃんと施策のPDCAを回すことが大事と思っています。
Webサイトやバナーを改善するときに、オリジナルのデザインと改善案のデザインで、どちらが効果のあるデザインかを比較する「A/Bテスト」を毎週のようにやっています。A/Bテストをやると、すべての改善案で良い結果は出なくて、必ず失敗はあるんですね。
そこで失敗を失敗のままにしないで、どんな仮説で改善案を考えたかに立ち戻って、「これがよくなかったから、こうしたらもっと効果が出るんじゃないか」と振り返り、次につなげるようにしています。
当日はイベントに参加いただいた学生のみなさんからも質問をいただきました。その中から一部を紹介します。
Q:
マーケターなど他職種の方と協力する際に、意識していることや、気をつけていることをお聞きしたいです。
HRMOS 駒形:
相手が理解できる伝え方や言葉を使うようにしています。
デザイナーが使う言葉は、他職種のメンバーからすると、耳なじみのない言葉だったりするんですね。
例えば、マーケター以外の方で、複数ページを持つサービスサイトと、1ページのランディングページを同じ名称で呼んでいたことで認識違いが起きた、なんてこともあります。こうした認識のズレが出ないよう、使う言葉や伝える手段には気を付けています。
逆に他職種のメンバーも専門用語を使うことはあるので、それは自分が勉強したり、その場で言葉の意味を聞いて、相手の言いたいことを理解するようにしています。
Q:
この人と一緒に働きたい、働きやすいと思うデザイナーの特徴を教えて欲しいです。
ビズリーチ 槌谷:
個人的に一緒に働きたいデザイナーに共通しているのは「素直さ」かなと思います。
誤解しないで欲しいのは、ただ言われたことを愚直にこなす「素直さ」ではなくて。意見やフィードバックをもらったときに、まずは自分でそのフィードバックが適切かを考えて、デザインに反映する「素直さ」です。
言われたことをちゃんとやるのはもちろんですけど、言われたことに対して、その意味を考えて咀嚼して、真に自分のものにできる人は成長の速度が違うと思います。そういう「素直さ」がある人とは、ぜひ一緒に働きたいですね。
サービスとお客様をつなぐ価値創造において、マーケターをはじめとした他職種と協力しながら施策を進めていること。また広告のデザインでも、アウトプットのクオリティと同じくらい、課題解決や目的思考を大切にしていることが、お分かりいただけたのではないでしょうか。
Visionalのデザイナーの価値創造に対する働き方を知ることで、少しでもみなさまのデザイン制作や他者と協力してデザインをつくることのヒントになれば、嬉しいです。
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プロダクトデザインを担当するデザイナーが登壇したイベントのレポートは、こちらです。