
企業の進化に変化をもたらす「融ける“デザインのチカラ”」
“Design is too important to be left to designers.” —— デザインはデザイナーだけに任せるには重要すぎる 「口紅から機関車まで」さまざまなデザインを手がけたレイモンド・ […]
デザイン・ブランディンググループの柳田です。
先日、VISIONAL DESIGNでは学生を対象にサマーインターンシップを開催しました。
インターンは9月2日から11日間にわたり、カリキュラムはオンラインのワーク期間と自主制作期間に分かれています。今回は、カリキュラムの詳細や参加いただいた方の声からその模様を紹介します。
レポートを通じて、Visionalの現場で行われている課題解決のプロセスを体験できるインターンであること。私たちの考える本質的な課題解決のやりがいと難しさを知っていただければ幸いです。
「デザインのチカラで本質的な課題解決をし、これまでになかった価値を世の中に生み出す」これはVisionalのデザイナーが大切にしている考えです。私たちは日々業務に取り組む中で、こうした課題解決へのやりがいと同時に難しさも感じています。
この考えに共感し同じ想いを抱えている学生に、本質的な課題解決のやりがいと難しさを知っていただくため、毎年インターンを開催してきました。
今回、参加した学生のみなさんに取り組んでいただいたテーマは「これからの『企業と学生の出会い方』のアタリマエをつくるインターネットサービス」です。
このテーマをもとに、解決すべき課題の定義から、課題を解決するサービスのプロトタイプ作成に取り組んでいただきました。
テーマ設定の背景には、Visionalの主要事業でもある人材領域の課題に取り組んでもらい、学生にはなじみの薄い法人向けのサービスデザインに挑戦する機会を提供すること。実際にVisionalで直面する課題に限りなく近いテーマに挑戦してもらうことがありました。
11日間のカリキュラムは、3日間のワーク期間と7日間の個人制作期間に分かれ、最終日にはCDO 田中とデザイン本部の各室長に向けて、それぞれが作成したサービスとプロトタイプをプレゼンします。
期間中は参加者2、3人でチームを組み、困ったときには学生同士でディスカッションできるチーム編成を取りました。加えて、現場でサービスデザインを担当するデザイナーが各チームに複数名つき、メンターとして参加者をサポート。3日間のワーク期間は常にメンターにも相談できる体制を整えています。
また、今回は昨今のコロナウイルス感染拡大に伴い、フルオンラインでの開催となりました。参加者が次に何をすべきか迷わないよう、プロトタイプ制作以外の全てのワークをMiro上で完結できるよう設計しています。
ここからはカリキュラムの3つの大きな特徴から、インターンの詳細を紹介します。
インターンのカリキュラムはノーマンの「ダブル・ダイアモンド」にのっとった内容になっており、参加者には下記のようなプロセスで最終的なサービスの提案までを行なってもらいました。
ユーザーへの理解・共感、課題の定義のプロセスに2日以上を費やしているのは、本質的な課題を解決するためには、まず解決すべき正しい課題を見つけることが重要だと考えているからです。
実際の業務では、その時の状況に応じたデザイン手法を用いて課題を定義します。今回はユーザーインタビューで集めた情報からペルソナを作成して課題を定義しました。
また、ここで「ユーザーの課題とは何か」を考え抜くことで、3日目のサービスのUI設計やデザインに取り掛かったときに、手戻りが発生しないメリットもあります。だからこそ、課題定義にこれだけの時間をかけるのです。
今回のテーマ「これからの『企業と学生の出会い方』のアタリマエをつくる」の最終的なアウトプットは、人事課題を解決する法人向けのtoBサービスです。
参加者にとっては、人事業務もtoBサービスのデザインもなじみの薄いものだったと思います。ほぼ知識ゼロの状態からユーザーを理解すること、そんなユーザーの課題を解決するアイデアやUX設計を考えること。学生生活ではなかなか取り組めない機会を提供することも今回のテーマを設定した狙いのひとつです。
知識がない状態からユーザーのことを理解し、課題やアイデアの仮説を検証するため、カリキュラムにはユーザーインタビューの時間を毎日設けています。
インタビューはVisionalで働く現役の人事に行い、3日間のワーク期間でインタビューに費やす時間はのべ6時間です。
現役人事の生の声から、情報を集め課題やアイデアの仮説を立て、次のインタビューでそれらの妥当性を確かめながら、洗練させていきました。
インターン中、参加者はメンターとアイデアの壁打ちや、1日の最後に1on1ミーティングでその日の振り返りや疑問点の解消をしながら、ワークを進めていきます。
このときメンターは参加者の疑問に、可能な限り直接的には答えません。
「どうして、それが課題だと思ったんだろう?」「ここで使っている言葉の意味は?」と思考を促すような質問を投げかけて、自分の力で答えにたどり着いてもらうコミュニケーションをとっています。
実際の業務でも、最初から答えが明らかになっていることはほとんどありません。メンターとのコミュニケーションを通じて、自分の力で課題を解決できるアイデアにたどりつく経験をしてもらい、そのやりがいと難しさを感じてもらう狙いがありました。
ユーザー視点に立って課題やアイデアを考えぬき、それらの仮説検証を繰り返してアイデアを洗練させていく。インターンにおける3つの特徴の根底にあるのは、このようなVisional のデザイナーが共通して持つデザインへの姿勢です。
それがインターンであっても、このデザインへの姿勢は変わりません。
最終日には、参加者それぞれが定義した課題と課題解決のためのサービス、そのプロトタイプをプレゼンします。発表後には一人ひとりにCDO田中とデザイン本部の各室長からフィードバックが行われました。
全てのプレゼンを終えて、インターンの総括としてCDO 田中から参加者に送られたメッセージを紹介します。
デザイナーの仕事はサービスのUIを作ることだけではありません。これからはユーザーの課題にコミットして、解決まで導くことがデザイナーの仕事になっていきます。
ですので、デザイナーを志望するみなさんには2つのことを常に問い続けて欲しいです。1つは「本質的な課題をクリティカルに捉えられているか」、もう1つは「そのアイデアは本当にユーザーの課題を解決できているか」です。
課題がクリティカルで本質的であればあるほど、解決したときに大きなインパクトや価値が生まれます。しかし、課題解決に即効性のある切り札はありません。
ユーザーの課題を解決するデザイナーを目指すのであれば、ぜひこの2つを意識してこれからもデザインを続けていってください。
インターンに参加した学生のみなさんからは以下のような声をいただきました。難しいテーマに挑戦する中で、新たな学びや気づきを得ていただき、とても嬉しく感じています。
参加してくださった学生のみなさん、本当にありがとうございました。そして、本当にお疲れ様でした。私たちも初めてのオンライン開催で不安な箇所はありましたが、粘り強く課題に取り組んでいただいたおかげで、最後までやり切ることができました。
「ユーザーが本当に困っていることは何か」「どんな体験を提供すれば、ユーザーの課題を解決できるか」。Visionalでは、サービスの情報設計やUIデザインを作ることと同じくらい、課題を発見し、解決策を決めるプロセスを大切にしています。
時間をかけて何度となく思考と検証を繰り返し、その先にある本質的な課題を解決することに、デザインの難しさや泥臭さ、そして、やりがいや楽しさがあります。今回のインターンを通じて、学生のみなさんにはそのことを感じてもらえればと思い、カリキュラムを設計しました。
今回のインターンをきっかけに、今後のキャリアやデザインそのものの考え方に少しでもプラスになるものがあれば嬉しいです。
引き続き、学生のみなさんがキャリアの選択肢や可能性を広げられるイベントを開催していきます。今後のイベントの情報は Twitter などで告知しますので、ぜひフォローください。