Visional Designer Blog

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プロフェッショナルなデザインチームを目指して —— デザインシステムと課題解決の仕組みを作りました

こんにちは、デザインマネージャーの大河原です。

デザイン本部 プロダクトデザイン室に所属し、HRMOS事業でプロダクト開発に関わるデザイナーのマネジメントをしています。

プロダクト開発におけるパフォーマンスの高いデザインチームとは一体どんなチームでしょうか。HRMOS事業では、チームのデザイナー全員が事業課題を発見し、その課題に責務を持ってコミットできるチームと考えています。

今回は、私の立場から考えたデザインチームのあるべき姿を実現するにあたり、大きな課題だったデザインの属人化を解消する取り組みを紹介します。

まだまだ理想のチームには遠いですが、デザインチームのあり方の一例として、サービスデザインに関わるデザイナーの皆さまの参考になればと思います。

人財活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」とは

私たちが担当する人財活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」について簡単に説明します。

HRMOSは、採用から入社後の活躍までの情報を一元化・可視化することで、客観的なデータに基づいた人財活用を可能にし、組織の継続的な成長を実現するサービスです。

異なる業務領域をカバーする複数のプロダクトから成り立っており、現在は採用管理クラウド「HRMOS採用」、従業員データベース「HRMOS CORE」、人事評価クラウド「HRMOS評価」を提供しています。

例えば、HRMOS評価では、過去から現在までの1on1のフィードバック、目標や評価データの蓄積が可能です。育成や評価のためのアクションを日常的な業務にすることで、従業員一人ひとりやチームの成長機会を作ります。

現在も人財活用の課題を解決すべく、新たな機能やプロダクトを開発しており、この8月には新たに「組織診断サーベイ」機能をリリースしました。

組織課題の解決を目的に、従業員向けの調査から結果の分析〜課題の特定〜取るべきアクションの提案まで、一連の機能が備わっています。また、HRMOS COREと連携することで、従業員データと調査結果を紐づけたレポートの作成や分析も可能になります。

「組織診断サーベイ」管理画面

このように、HRMOSではご利用企業様の組織成長を実現するため、複数のプロダクトや機能が連携し、一貫した体験を提供することが重要です。それができて初めて、HRMOSのサービス全体がユーザーに新たな価値を提供することになります。

では、複数のプロダクトで一貫したユーザー体験が求められるサービスの開発現場において、デザインチームはどうあるべきでしょうか。

デザイナー、デザインチームそれぞれのあるべき姿

まず、サービスデザインに関わるプロフェショナルのデザイナーが担う役割を考えてみます。

当然ながら、UIなど表層部分のデザインをつくるだけがデザイナーの役割ではありません。事業における課題の発見から、ソリューション案の仮説検証を行い、体験を設計。それをUIデザインに落とし込んで、ユーザーに届けるまでの幅広い役割が求められます。

これをまとめるとプロフェッショナルのデザイナーの役割とは、課題発見のためユーザー、ビジネス、テクノロジーを俯瞰して観察。それらを有機的につなぎ、解決策や新しい価値を産み出し続けることだと考えています。

この役割を担えるデザイナーがチームに1人いればいいのかというと、そうではありません。1人の同じデザイナーに頼り続けると、チームの成長は望めませんし、その1人が欠けたときのリスクは非常に大きいです。

また、先にも述べたようにHRMOSは複数のプロダクトが連携することで新しい価値を提供できるサービスです。プロフェッショナルのデザイナー1人が全てのプロダクトをカバーすることは現実的とは言えません。

ですので、HRMOS事業のあるべきデザインチームとは、各プロダクトにプロフェッショナルのデザイナーを配置。それぞれがプロダクトに責務を持ってコミットし、課題解決と価値創造をし続け、事業の価値最大化を牽引できるチームと定義しています。

このあるべき姿は絵に描いた餅でしかなく、まだまだ道半ばです。私がジョインした2018年の年末には、デザインチームのあるべき姿を描くことすらままならなかったため、当時のチームの課題解決から始めました。

デザインの属人化解消のために行った2つのこと

当時、最も大きな課題だったのが各プロダクトのデザインが特定のデザイナーに属人化していたことです。

プロダクトごとにUIデザインや管理方法が異なり、それを扱うデザイナーのスキルも違いました。デザイナーをスキルに見合った適切なタスクにアサインできず、先にあげたデザインチームのあるべき姿とは大きくかけ離れていたのです。

複数のプロダクトからなるHRMOSにおいて、一貫した体験を提供できないのは致命的です。デザインの扱いを統一するべく、デザインの整備から着手しました。

デザインシステム「Polyphony(ポリフォニー)」の誕生

バラバラだったデザインを統一するため、UI Kitの整備を私ひとりで始め、徐々にチーム全員に指示を出して巻き込んでいきました。デザインの基礎ができ始め、デザイナーが共通の視点を持ってデザインできるようになり、プロダクト全体でデザインの統一が始まりました。

UI Kitの整備に着手して半年が経った頃、「デザインシステム」の作成に入ります。プロダクトに関わるすべての人が、HRMOSを開発する上でデザインのルールを正しく理解できるシステムにするため、UI Kitを可能な限り言語化。デザインの指針となる「デザイン原則」の策定にも取りかかりました。

また、デザインシステムの作成に入ったタイミングでプロジェクトのオーナーをメンバーに移譲。ここからはメンバーが自走する形でプロジェクトを前に進めてくれました。

以降はプロダクトの開発を進めながら、チームのリソースの3割程度をデザインシステムに充てます。そしてついに、着手から1年以上経ってデザインシステムが形になり、それをもとに開発ができるようになりました。

HRMOSのデザインシステム「Polyphony(ポリフォニー)」を簡単に紹介します。

Polyphony(ポリフォニー)とは、複数の独立したパートからなる音楽のこと。
デザインシステムとして調和がとれているという意味と、HRMOSが多数のモジュール群が独立しつつ協調して存在するためのシステム、という意味を込めています。

UI Kit のようにデザインパターンが羅列されているだけでなく、いつどのようにそのパターンを使用するのか、またそれはなぜなのかを言語化。インタラクションやインターフェースの言葉遣いなども定義しています。

デザインシステム「Polyphony」で定義されているコンポーネント集

UIの設計、デザイン、実装を行う上で判断軸となる「デザイン原則」もデザインシステムには含まれます。「Sociable / 社交的」「Functional / 機能的」「Thoughtful / 献身的」の3つの標語からデザイン原則は成り、プロダクトに関わるすべての関係者が理解し、活用するようになりました。

デザインシステムができたことで、デザインの属人化は大きく改善されました。また、デザイン原則が開発メンバーに共有され、デザインに関するコミュニケーションは以前にも増してスムーズになっています。

デザイン原則は日常的なコミュニケーションで使われるように

他にもデザインの品質やレビューの精度は、デザインシステムで担保でき、表層や骨格のデザインにかけるコストが抑えられるようにもなりました。そのおかげで、デザイナーが事業の本質的な課題に取り組めるようになったことも大きかったです。

デザインシステムなどの仕組みは、プロダクトの変化に合わせて手を入れ続けないと形骸化することが多々あります。今もメンバーがメンテナンス続け、仕組みの形骸化を防いでくれていて、プロダクト開発でデザインの基盤がぶれないことの重要性を実感しています。

全員がWhyからHowを考えられるデザインチームに

大きな石だったプロダクトデザインの属人化は、デザインシステムによって解消できるようになりました。

デザインシステムの整備と並行して取り組んだのが、デザイナー全員が事業課題にコミットできるよう、課題解決する方法を自力で考えられるスキルをつけることです。大小はありますが、課題から解決策を考え、それを実行するスキルは事業をリードしていく上で必要なスキルと考えます。

チームのパフォーマンスが上がらない一因に、マネージャーやリードデザイナーばかりが解決策を考え、メンバーはその実行部隊になってしまうという状況があります。解決策を考える人が限定されると、事業もチームも成長は遅れてしまうかもしれません。

しかし、新卒や若手のメンバーにいきなり「事業の課題を探して、それを解決してほしい」というのは酷な話。そこでメンバーに課題を解決するスキル、Howを考えるスキルがつくよう、チームの目標に紐づいた課題、Whyを投げかけました。

手を動かせばすぐに解決できるような課題ではなく、敢えてあいまいな状態でメンバーに課題を渡して、その解決方法について私からは言及しないスタンスをとっています。

課題はデザインシステムにあるのか、仮説検証の方法にあるのか、チームのコミュニケーションにあるのか。メンバーは解決すべき課題と徹底的に向き合って、主体的にHowを実行してくれています。

おわりに:全員が事業にコミットできる仕組みと環境を

デザイナー全員がプロダクトに責務を持ってコミットし、課題解決と価値創造をし続けるためのHRMOSデザインチームの取り組みを紹介しました。

デザインシステムでデザインの基盤を整備し、個々のデザイナーがWhyからHowを考えるスキルをつけられる仕組みをつくってきました。今では、プロダクトにおけるデザインの意思決定や、チームのリソースをどう使うかの権限は現場のリードデザイナーにすべて移譲しています。

私はプロダクトデザインの現場から離れ、HRMOSのユーザー、ビジネス、テクノロジーを俯瞰しながら、事業全体の大きなビジョンを描くことや戦略レイヤーの課題解決に注力しています。

チームのマネジメントも継続していて、まだまだ解決すべきことは多いです。HRMOSのプロダクトに対して、事業を牽引できるデザイナーは足りませんし、「事業を牽引できるデザイナー」の持つスキル定義もできていません。

今後はユーザーに新たな価値を提供し続けられるよう、事業全体の課題に取り組むと同時に、デザインチームが高いパフォーマンスを出せる仕組みや環境を用意していきたいと考えています。

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