Visional Designer Blog

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全ては仲間と事業を前進させるために —— 事業に貢献するプロダクトデザイナーのあり方

Visionalには、ビズリーチをはじめとした規模の異なる事業が複数あります。各プロダクトデザイナーはそれぞれの事業に紐付けられる形で、業務に取り組んでいます。

今回は「ビズリーチ・サクシード」のプロダクトデザイナー 米増、同事業の企画開発部 部長の前田に話を聞きました。

「この仲間と事業を前に進めるためなら、できることは何でもやる」インタビューの中でそう語った米増は、どのように事業に貢献しているのでしょうか。

ビジネスサイドに食い込み、自らの力で事業を進めることに挑戦しているデザイナーの方にとってヒントになれば幸いです。

※掲載している写真は、在宅勤務への移行前に撮影したものです。

デザインの土俵でしか事業を見られずに陥った負のループ

—— まずは、ビズリーチ・サクシードの説明をお願いできますか。

前田:事業承継M&Aプラットフォームの名のもとに、2017年11月にスタートした事業です。

前田:日本企業の99%以上が中小企業であるにも関わらず、その1/3が後継者未定のまま経営している状態です。これまでは人を介した手段でしか、事業承継のお手伝いができませんでした。しかし、後継者未定の企業数からすると、人を介した手段だけでは後継者不足が解消できない課題がありました。

その課題をインターネットの力を使って解決しようと立ち上がったのが、譲渡企業と譲り受け企業をつなぐオンラインM&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」です。

—— ありがとうございます。では、お2人の事業部での役割について説明いただけますか。

米増:創業メンバーが集められたタイミングでデザイナーとしてジョインしました。現在は広告デザインも含めたビズリーチ・サクシード事業に関わる全てのデザインを見ていますが、主に担当しているのはプロダクトデザインと、プロダクトマネジメントです。どうしたら事業を前に進められるかを考え、解決すべき課題を決め、デザインまで一貫して行っています。

デザイン本部 プロダクトデザイン室 米増佳樹

前田:今はビジネスサイドとプロダクトサイドの事業全体を見ながら、事業の方向性からプロダクト改善の優先度付けが僕の役割です。開発者ではないので、細かいHowの部分は、プロダクトサイドにお任せしています。

事業承継M&A事業部 企画開発部 部長 前田洋平

—— 事業立ち上げ時にプロダクトデザイナーとしてジョインされてから、役割はどのように変わりましたか。

米増:ジョインした当時は、言葉を選ばずに言えば、降りてきた要件の実装部隊でした。ビジネスサイドが考えるサービスの世界観や要件を実現する方法をとにかく考え、洗練されたアウトプットとして形にすることが自分の役目だったと思います。

事業課題を解決するための意思決定をする現在の役割とは大きく違います。

事業立ち上げ当時の集合写真

—— 決まった要件を実装する立場から、自然と事業課題に取り組めるようになったのでしょうか。

米増:全くそんなことはなかったです…。むしろ1年くらい前までは、失敗ばかりでチームに迷惑をかけることばかりでした。

UXデザイン浸透のため、カスタマージャーニーマップやユーザーペルソナの整理をしたり、開発スピード向上のため、エンジニアを巻き込んでスタイルガイド作成などを行いましたが、結果的に全部失敗しました。

たくさんの人に協力してもらいましたが、大きな成果は上がらず、チームのリソースを使っただけで、結果迷惑をかけてしまいました。実際巻き込んだメンバーからも、失敗続きの印象を持たれていました。

そうなった原因は2つあって、1つは主語が自分だったことです。業務を通じて、自分がどう成長するか、デザイナーとしてどうあるべきかばかりに重きを置いてしまい、事業をどうすれば前に進められるかの視点がありませんでした。

もう1つは、デザインの土俵の中でしか自分の動き方を考えていなかったことです。本来なら事業を前に進めることが最上段の目的であるべきですが、UX整理やスタイルガイド作成のような、デザイナーらしいHowを使うことが目的となっていました。

そういった考えのもとでチームを巻き込んだところで、どれだけ数を打っても施策は当たらないし、コストが積み重なるばかりで周囲が疲弊する悪循環に陥っていました。

壁打ちの果てに手に入れた事業への視座と仲間の巻き込み方

—— そういった中で、考え方が変わったきっかけは何だったのでしょうか。

米増:事業部長の前田をはじめとして、ビジネスサイドの方々や他事業部のプロダクトマネージャーに考えていることを赤裸々に相談して、壁打ちさせてもらったことが大きかったですね。

当時は主語が「自分」だったので、事業のことよりも「自分はUXデザインをやりたい」「自分はプロダクトマネージャーになりたい」ということばかり言っていました。すると、ある時に前田から「考え方が全然プロじゃないね」と強く言われたんです。

—— 「プロじゃない」という言葉にはどんな真意があったのでしょう。

前田:あるべき「主語」と「目的」が、彼の言っていたことがずれていたんです。

まず主語の観点でいうと、米増がやりたいことをやるだけであれば、必ずしもビジネスである必要はありません。私たちはビジネスをやっているんだから、主語を自分にして、やりたいことをやるのは違う。

目的の観点でいうと、事業に対する視座で目的も変わりますし、当然Howの部分、やるべきことも変わる。視座と目的がロジカルに設計できていない時点で、本当の意味でデザイナーの職務を果たせていません。

そういった観点から、事業がやりたいことと、米増の言ってることには差がないかを指摘しました。僕がやったのは、その差を埋める整理整頓の手伝いですかね。

—— 壁打ちを経て、仕事の向き合い方にどんな変化がありましたか。

米増:働き方の1つで大きく変わったのは、手を動かすことよりも、思考することに比重を置くようになりました。

自分の成長へのコミットから、事業やユーザー、チームのために何をすべきかを第一に考えるようになりました。具体的に行っているのは、事業課題の構造について仮説を立てて、それを仲間に当てることです。立てた仮説を周囲に正しく理解してもらうために、細かなコミュニケーションを欠かさないことも大事にしています。

米増:もちろん、これまでデザイナーとして培ったスキルも活かしています。例えば、コミュニケーションやミーティングの場で活きるのは、情報を視覚化するスキルです。その場で自分が情報を視覚化することで、メンバー間で素早く判断がしやすくなる。そういったデザイナーの強みは、忘れないようにしています。

Visionalのデザイナーには会社からiMacが貸与されますが、ミーティング時に持ち運んで瞬時にアウトプットを作れるように、僕はずっとMacBook Proを使っています。同じ理由で、ホワイトボードも積極的に使うようにしていますね。

前田:外から見ていても、コミュニケーションの質と量は上がっていると感じます。

今、プロダクト開発チームがとてもいい雰囲気なのは、米増がビジネスサイドとプロダクトサイドのブリッジとして機能してくれているからです。チームの中でも、とりあえず彼を巻き込んで相談してみるかという風になってきました。

「デザイナーがすべき仕事なのか?」というのはありますが、組織のコミュニケーションを円滑にすることも、十分デザイナーの仕事だと思います。

もう1つ言えるのは、事業への視点が大きく変わりましたね。

事業を進めることは、どんな施策をするか決めることでしかないと思っていて、それはビジネスサイドの人間もデザイナーも同じだと思っています。その意味で、米増はイチデザイナーの視点でしか事業を見ていなかったですが、今は事業をより俯瞰で見る視点を持てたのが大きな変化です。

前田:だから、事業の本質的な課題を解決するため、要件定義の話もできるし、自分で手を動かすこともできるし、後輩を育てることもできる。自分自身が変わることで、自分のリソースを配分できるようになってきたと思います。

—— そういった考え方の変化を経て、目に見えるような成果はありましたか。

前田:例えば売り手企業様の案件登録導線を改善して、登録率が上がったのは米増の貢献です。

彼がオーナーとなって、ビジネスサイドの人間を巻き込み、一気にデザインの改善まで行ってくれました。

—— 具体的に、どのようなことをされたのでしょうか。

米増:まず前提として、ビズリーチ・サクシードに登録いただいた売り手企業様は、案件情報の登録を行わないと、使える機能が極端に少ない仕様になっています。それにも関わらず、案件情報が未登録のユーザーが多く、十分にサービスを活用いただけていない状況でした。

そこで、どうしてユーザーが案件情報の登録をしていないのか。オーナーとなってビジネスサイドとミーティングを行い、課題の発掘から始めました。

明らかになったユーザー課題は、「ログイン後、何をしたらいいか伝わっていない」「M&Aサービス初心者のため、案件登録の仕方がわからない」ということ。

他の施策の知見で、サービス登録時はユーザーの熱量が高いことはわかっていたので、サービス登録時に案件情報を必ず入力する導線にすることをビジネスサイドと決めました。施策が決まると、デザインはただちに自分で作りました。

施策を打った1ヶ月で、案件の掲載率は10ポイント以上改善し、案件登録いただくためのコストを下げる結果なりました。また、それまでマンパワーで行っていた、ユーザーフォローも不要となり、1つの施策から案件登録に関わる複数の課題解決につながりました。

こういった成果を出せるようになったのも、事業の構造から課題を発見し、メンバーを巻き込めるようになったからと思います。

デザイナーも事業を進めるために集まった1人。事業を前に進めるためなら、何でもやる

—— 事業に貢献できるプロダクトデザイナーの姿とは、どういったものでしょうか。

米増:デザイナーに限った話ではないですが、常に事業の構造を把握し、定量・定性の双方向から課題を考えられる人。そして実装から検証まで、早いサイクルでPDCAを回せる人かなと考えています。

最近は、ユーザーの使いやすいものを作ることや1pxに命をかけることはプロダクトデザイナーとして当たり前のことかなと捉えるようになりました。あくまでも自分は事業を前に進めるために集まった中の1人。なので、デザインを武器にするのは当然とし、さらにどうやったらビズリーチ・サクシードが事業として前に進むかを考えないといけないと思っています。

以前までは、事業の状況を理解して仮説を持つといった、職種関係なく視座が高い人が当たり前にやっていることは全くできていませんでした。ですが、ビズリーチ・サクシードでの経験があって、今は改善のインパクトがあるのはここだと、自分の感情ではなく、ビジネス視点で優先度を判断するようになれたかなと思います。

前田:米増が言ってくれた通りで、やるべきことの判断や物事を前に進めることは、任せられることが少しずつ増えてきました。彼自身に向いていた視点が、最近は事業やコトに向くようになってきた。登録導線の話も、事業に対する目線がビジネスサイドと揃ってきたからできたことです。

プロダクトをつくって事業を進める上では、ビジネスサイドとプロダクトサイドの理解は永遠の課題です。今やってくれているのは、お互いが寄り添うための架け橋をデザインしてくれていることだと思います。

—— 最後にこれから目指す姿を教えてください。

米増:正直、今はこうなりたいという明確な姿はありません。昔ははっきりとした理想像があったんですけど、この仲間と事業を前に進めるために必要なことなら、できることは何でもやるつもりでやってます。

そして本当に自分1人だったら、絶対に今のようにはなっていません。どれだけ失敗を繰り返しても、自分を見捨てないで、いろんなことを気付かせてくれた、この事業部の仲間には感謝しかありません。

—— 今日はありがとうございました!