
企業の進化に変化をもたらす「融ける“デザインのチカラ”」
“Design is too important to be left to designers.” —— デザインはデザイナーだけに任せるには重要すぎる 「口紅から機関車まで」さまざまなデザインを手がけたレイモンド・ […]
ビズリーチでは毎年、4月に新卒入社したデザイナー向けに4ヶ月間のデザイナー研修を実施しています。今年は10名の新卒デザイナーが入社しました。
今回は、一部研修の内容と、研修を実際に受けた新卒デザイナーの感想をお届けしたいと思います。ビズリーチの新卒研修について知っていただだくと同時に、デザイナーを目指す学生さんに、少しでも役立つ情報がお届けできれば幸いです。
研修を設計するにあたり、目的を研修運営メンバーで議論し、今年は下記の2つを目的に掲げました。
その上でカリキュラムを作るにあたり、「どんなデザイナーになってほしいのか」を考えることにしました。将来的には「事業を牽引するリードデザイナーになってほしい」という思いで合意し、目指すデザイナーの基本スキルを分解して「伝わる」「考える」「作る」の3つを基本スキルとして定義することにしました。
去年は下記の目的と、カテゴリで研修カリキュラムを設計しています。去年の研修内容は、こちらをご覧ください。
去年の研修から大きく変わったのは、「伝わる=コミュニケーション」を重視した点です。
ビズリーチの求めるデザイナー像として、作るだけではなく、自ら考え、価値創造、課題解決のために必要な他者とのコミュニケーションのスキルも身につけてほしいという思いで、「伝わる」では下記の内容を含んだカリキュラムを組みました。
新卒デザイナーの住岡 梓に、研修を通じて学んだこと、配属後の今に生かせていることを聞きました。
ーー4ヶ月間という研修期間はどうでしたか?
長いなと思いました(笑)
大学の友人や、他の会社でデザイナーになった同級生は、入社した次の日から実務に携わったり、アウトプットをしたりしていて、正直焦る気持ちもありました。
研修が終わって2ヶ月経った時、「まだ半分か…」と思ってましたね。
実際終わってみて感じるのは、「意味のある4ヶ月だった」ということ。学ぶことがたくさんありました。
ーーどんなことを学びましたか?
研修が始まる前は、ツールの使い方やクリエイティブの作り方を学ぶのだと思っていたのですが、コンピテンシーや、人間としてどう成長していくのかといった点に主軸が置かれていたのは驚きましたね。
デザイナーとして、人材として大事にされているんだなというのをとても感じました。
ただツールを使って手を動かすロボットではなく、個人の特性に合わせて研修を設計してくれていたのが、嬉しかったです。
ーーどんな点でそう感じましたか?
上長や研修中のメンターが、定期的な1on1で相談にのってくれたり、フィードバックをしてくれた点です。
研修中の悩みについて相談に乗ってくれるだけでなく、アイディアの壁打ち相手にもなってくれました。「どんなデザイナーになりたいか」についてたくさんヒアリングをしてくれて、考えるきっかけをもらったのはもちろん、それに合わせてアドバイスをしてくれているのを感じましたね。
あとは、振る舞いや考え方、課題への向き合い方について、客観的に見てフィードバックをしてくれました。わたしは困ったとき助けを求めるのが苦手なのですが、「迷惑とか思わなくていいし、組織として成功を追っているのだから、できないことは仲間を頼って一緒に解決すれば良い。自分がすべきことの優先順位を考えましょう。」というアドバイスをもらって、考えも行動も変わりました。
ーー研修の中で、楽しかった研修は何ですか?
何かを制作する研修は、全部楽しかったですね。
コーディングも初めての経験で、最初は画面に表示させることさえも大変だったのですが、研修を重ねて行くうちに考えた通りに画面に反映させられるようになったのが楽しかったです。
時間はたくさんかかりましたけど、先輩方が丁寧に教えてくれたり、同期同士で教えあったりして、できなかったことができるようになるのを、最も実感できた研修内容でした。
ーー研修の中で、大変だったことは?
大変だったことは2つあります。
1つは、1人の社会人としてどうあるべきか、自分と向き合う時間が大変でした(笑)
上長面談やメンターとの1on1で「得意なことは何か?」「苦手なことは何か?」「どんなデザイナーになりたいか?」について聞かれることが多くて、正直悩みましたね。
まだ明確な役割があるわけでもないし、大学の頃のような学生でもないし、社会人だけど1人前でもない。「自分は何者なのか?」について考える時間が多くて、常に自問自答してました。もちろん、今も考えてますね(笑)それがあったからこそ、配属された今でも思考する癖がついたのだと思います。
2つ目は、コミュニケーションの難しさです。
大学の時は気があう人とつるんでいれば良かったのが、社会人だと組織の中の色んな人とコミュニケーションを取る必要があるのが大きな変化でした。
自分自身を知って、他者を理解するというのが、これまではなかった視点ですね。
驚いたのは、意外と自分が伝えたいことがちゃんと伝わってないんだなということです。時にはぶつかることもある中で、ただ嫌われないように相手に合わせるのではなく、自分の考えを相手に伝えるために伝え方を工夫する必要がある、というのは社会人になってから意識した点ですね。学生時代とはコミュニケーションの質が変わった気がします。
ーー研修の中で、印象的なものはありましたか?
同期のエンジニアと一緒に行ったスクラム研修が、とても印象に残ってますね。
エンジニアと共にチームを組み、ビズリーチの既存プロダクトに新規機能を付けるという課題にスクラム開発の形で取り組みました。
私たちのチームは社員の情報を取得して、ランチに行くグループをマッチングさせる機能を開発しました。
今回のように、実際に動くプロダクトを作るという認識でこれまでデザインしたことがなかったので、気づきや学びがたくさんあった研修でした。
ーーどのような学びや気づきがありましたか?
例えば、画面には異なる文字量のテキストやサイズの違う画像など、可変的な情報が入ってくるんだということ。独学でUIデザインを学んでアウトプットしたものは静的な画面だったので、可変要素を意識してデザインをするというのは、大きな気づきでしたね。
スクラム研修はコーディング研修の後だったので、クラス名をわかりやすいものにしたり、コンポーネントの統一感を意識するなど、実装しやすいデザインを心がけました。目の前で同期のエンジニアが実装していたので、より強く思いましたね(笑)。実装側の立場になってデザインやコーディングをしたり、浮いているタスクを率先してやったり、先回りしてイシューに取り組むことができました。
プロダクト開発の一連の流れを知れたのも、学びがありましたね。
APIを叩いて、情報を取得して、それを表示するという一連の流れを知ったことで、ただ見た目を整えたり、自分が作りたいものをデザインするのではなく、実現可否や効率性なども考慮するようになった気がします。
ーーエンジニアとの協業での気づきはありましたか?
私とエンジニアがみている範囲が違うのも気づきでした。
私は、自分が担当している画面だけ作れれば完成だと思っていたのですが、エンジニアはインフラやセキュリティの部分にも時間を割いていて、「早くメインの機能作ろう」と言っても通じなかったことがありました。家で例えるなら、私はリビングさえできればOKと思っていたのが、チームのエンジニアはドアも、窓も、電気も必要だというふうに考えていたんです。自分の担当箇所だけ見ていては足りないんだという点と、自分の考えだけで話すのは良くないんだなということを学びましたね。いろんな人とコラボレーションするためには、聞いたり、対話したりするのが大事なんだなと思いました。
ーースクラム研修での学びは、何かに活かせましたか?
最終課題でブログサイトのデザインをしたときに、ブログの記事は誰が更新するのか、どんな情報をどこから引っ張ってくるのか、裏側の動きを考えることができたと自分では感じていて、スクラムをやる前後で、デザインに対する向き合い方が変わったと思っています。
それまではwebもチラシやポスターと同じ感覚でデザインしていたのが、ブログだから可変要素が入ることを意識したり、ブログを書く人はどんな風に編集するのか、誰がどんなタイミングで見るものなのかをとても意識するようになってました。そういう視点は、他の職種の人と一緒に物作りをするという研修をやったからこそ、身についた視点だなと思っています。
ーー先輩からのフィードバックで、印象に残っていることはありますか?
研修中、私のメンターをしてくれていた先輩と、隔週で1on1をしてもらっていたんですね。研修中の悩みはもちろん、キャリアの話とか、メンタリングをしてもらってる中で、質問の仕方について相談したのが、学びを深める大きなきかっけになりました。
研修中よく、「わからないことはどんどん質問してね」って、どの先輩方も合言葉のように言っていて、最初は質問することが目的になってしまっていたんです。すぐ質問しなきゃと思って質問したら、今度は「自分で考えてから質問してね」と言われて、考えすぎて質問できなくなってしまった時があって(笑)
どう質問したら良いかわからないという悩みを相談したら、まずは自分の中で仮説を立ててから質問するようにアドバイスをもらいました。
ーー具体的にはどう変わったのですか?
今までは「これってどうしたらいいですか?」「これはどうしててですか?」とういうように、思いついたまま疑問を聞いていたのが、「これってこういうことですか?」という質問の仕方をしてみました。そうしたら会話もすごくシンプルで端的になったんです。仮説に対してフィードバックをもらえるので、自分の中での理解度が上がったのを感じました。まだまだ課題はありますが、以前より質問の質が上がったなと思いますね。「もっと質問して欲しい」と言っていた先輩方の言葉の意味が、わかった気がします。
どう先輩から学ぶのかは、引き続き研修中からの課題ですね。私だけではなく、他の同期みんなが思ってたことだと思いますね。
でも、先輩方からのフィードバックで多かったのは、「デザインは自分のためじゃなくて会社がやろうとしていることを叶えるためにやっていること。だから、聞くのが恥ずかしいとか怖いとか思わず、先輩を利用して自分が強くなることが、会社への貢献に繋がるんだよ。」ということを言ってもらえたので、質問することへの抵抗はなくなりましたね。
ーー研修を受けてみて、デザイナーへのイメージは何か変わりましたか?
学生の時は、誰かにお願いされたことをやっていて、自分もやりたいからやっていて、かっこいいものを作る人ってイメージでした。デザイナーは課題を解決する人ということは最近よく言われていて認識はしていたし、頭では理解もしているつもりだったのですが、どうやって課題を解決しているのか、具体的なやり方がわかってなかったんだなというのを研修を通して気づきましたね。
例えばコピーを考える際、言葉選び1つにしてもよりユーザーの心に刺さるのはどちらなのか、仮説やデータから考えるなど、「こんなに細かく考えるのか」というのが正直な感想で、課題解決ができるデザイナーになりたくてビズリーチに入ったので、なりたいデザイナーの解像度が上がりましたね。
ーー配属された今、研修で役立っていることはありますか?
やはり、質問方法が変わったことが一番役に立っていますね。研修中に気づかなかったら、今も何も聞けなかったんじゃないかなとさえ思います。仮説を立てることで疑問を抱けるようになるし、その考え方のベースがあるのは大きいですね。
研修中は自分の成長のために質問をしていたのですが、配属の後の今は、会社のアウトプットを担う1人のデザイナーとして、自分が聞かないこと、知らないことによって抜け漏れが発生し、リスクに繋がるんだというのを感じて、責任の重みを感じています。
ーー研修と違うと感じることはありますか?
自分で考えることも、やることも研修より広がったなと思います。思ってたより、全部自分で考えるんだなというのが想像していたのと違いましたね。先輩は伴走してくれるけど、オーナーは自分。チームの先輩方も、一緒にお仕事をする他部署の方々も、新卒だから甘くするとかではなく、デザイナーとして接してくれるので、やりがいを感じていますね。
ーーこれから、どんなことにチャンレンジしていきたいですか?
直近の目標は、情報設計力とデザイン力を高めることです。
コミュニケーションデザイン室に配属されてから、マーケターと一緒に仕事をすることが多く、ユーザーの欲しい情報の優先順位を考えたり、訴求したい点をビジュアル的に伝えるデザインが、まだまだできていないんだなと感じました。
将来的にチャレンジしたいのは、チームを動かしプロジェクトを成功させることのできるディレクターや、デザインの質を高めることのできるアートディレクターになりたいと思っています。
ーーありがとうございました!これからの活躍を楽しみにしています!