
企業の進化に変化をもたらす「融ける“デザインのチカラ”」
“Design is too important to be left to designers.” —— デザインはデザイナーだけに任せるには重要すぎる 「口紅から機関車まで」さまざまなデザインを手がけたレイモンド・ […]
はじめまして、デザイナーの狩野です。現在、事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」のデザイナーとしてお仕事をしています。
私がビズリーチに新卒入社して、1年が経ちました。振り返ると、「失敗から学ぶこと」がとても多い1年だったと感じています。
そのなかでも、新卒同期と一緒に企画し2月中旬に開催したイベントは、社会人として、デザイナーとして、学ぶべきことを凝縮して学べた貴重な機会になりました。
今回は、イベント企画から学んだ4つのことを、新卒1年目の奮闘記としてご紹介します。
イベントのメインビジュアル
学びの紹介の前に、イベントの内容を少しだけご紹介します。
このイベントは「デザイナーを志しているが、具体的にどんなファーストキャリアが自分にあっているのかイメージできずにいる学生さん」に、様々なキャリアを歩んでいるデザイナー社員の話を聞いてもらうことで、ファーストキャリアを考える切り口を広げてもらうことをゴールに設定して開催しました。
当日は、「デザイナーのキャリアについてのオープニングトーク」と「新卒社員のファーストキャリアについてのパネルディスカッション」の2部構成で、ビズリーチのデザイナーが登壇させていただき、それぞれのキャリアを深掘り。イベント終了後のアンケートでは、9割の参加者に、満足していただけたイベントとなりました。
しかし開催に至るまでには、できないこと、わからないことが多く、当初予定していた開催時期から3ヶ月延期するなど、多くの失敗を繰り返してきました。
前列中央の3人で企画しました。左から、武、早川、狩野。
私たちが最も苦戦したのが、「参加対象の学生がもつ課題は何か、イベントを開催する目的・ゴールは何か、イベントを経て学生にどのように変化してほしいのか」を明確にし、チームで認識を合わせることです。
課題・目的・ゴールが不明確な状態で、時間ばかりが過ぎゆくことに焦りを感じた私たちは、なんとなく決まった方向性をもとに、コンテンツや告知の準備に注力してしまいました。そのため、イベントコンテンツがどこに向かっているのか、だれに訴求した告知文なのか、判断できないままその場しのぎで進行してしまい、一貫したイベントの設計ができていませんでした。
就活における課題を洗い出すために、自分たちの体験をもとにしたカスタマージャーニーマップを作成。
これらの中から課題を絞りました。
こうした状況におかれていることに気づいたのは、登壇する先輩デザイナーと行なったイベントコンテンツに関するミーティングの場でした。先輩から改めてイベントのゴールを問われたときに、「客観的にフォーカスすべき学生の課題を、絞り切れていなかった」ことに気づきました。
学生が就活を意識してから内定をもらうまで様々なイベントが発生しますが、感じる課題はフェーズや学生の属性によって異なるため、深掘りするほど解決したい課題はたくさん出てきます。さらに、就活は自分たちが経験してきた道であるため、解決したい課題への思い入れがより強くなり、俯瞰してみることが難しくなっていました。
そこで、イベントを企画した最初の動機を改めて考えたときに出てきたのが「ぼんやりと進みたい方向性はあるけど、具体的にどんなファーストキャリアが自分に合っているのかわからない」という課題でした。このテーマを核にして、課題の原因を以下の3つに整理しました。
イベントを通じてこれら3つを解決することを目指して、イベントのゴールを「参加学生が、自分のロールモデルとなるデザイナーに出会い、自分の可能性を広げること」と、設定し直しました。
次に待ち受けていた失敗ポイントは、「施策の詳細ばかりを考えてしまい、イベント全体を通してのユーザーストーリーを描けなかった」ことです。
イベントのメインコンテンツはパネルディスカッションですが、登壇する先輩デザイナーに、どのような流れで何を話してもらえばいいかが分からなくてなってしまい、トーク内容のすり合わせに多くの時間を割くことになってしまいました。
また、イベントの告知文や参加フォームの情報設計、会場での開始までの時間や終了後の雰囲気など、それぞれの詳細を考えるにあたってゴールや目的は明確になりましたが、一貫した体験設計ができていなかったことに、1つひとつの準備に取りかかってから気づきました。
そのため、最も重要となる「パネルディスカッションでどのような掛け合いをすれば、学生の課題を解決する価値を提供できるか」という体験を達成するために、イベント全体の各場面ごとの学生のインサイトを考えて再度ストーリー設計を行いました。
その結果、登壇する先輩方との認識を合わせることができ、参加者のインサイトに対して、このような切り口で自分の経験談を伝えたらいいのではないか、という提案や議論ができるようになりました。
学び①、②の失敗ポイントを乗り越えられたのは、協力してくれた先輩の協力があってのことです。
新卒だけで企画していると、目線が同じがゆえに議論が進まなくなることがありました。そんなときは、社内の多くの先輩に相談し、一緒に課題を解決してもらいました。
デザイン・ブランディングのチーム、登壇した先輩方、メンター、その他様々な職能の方々の多角的なフィードバックのおかげで、少しずつブラッシュアップしていくことができました。
私たちの企画を形にするために多くの方々に協力していただきましたが、先輩方の時間をいただいていることを忘れずに、投資してくださった以上のものを返していけるようにこれからも努力していきたいと思います。
企画にも協力してくれた VPoD の光岡
以上の失敗を繰り返しながら、ユーザー視点で体験設計することで、結果として満足度の高いイベントを企画できました。
しかし、イベントは開催することが目的でなく、目的を達成するためのひとつの手段です。参加者の満足度が良かったからおしまいではなく、本当に目的を達成できたか、もっと良くできることはないか振り返ることで、より良いイベント企画に繋げることができます。
参加者の方からいただいたアンケート結果から客観的なフィードバックを取り入れ、さらにKPTという手法を用いてイベントを振り返りました。
運営メンバーで実施したKPTシート
イベント参加者のアンケート結果だけではなく、KPTを用いることでイベント前後の会議体や、合意形成フローなど細かなプロセスを振り返ることができ、イベントを通した学びをメンバーで言語化・共有することができました。
またイベントを企画する機会があれば、今回の学びを活かしてより良い体験設計のイベントにすることができるはずです。
イベントを通じた4つの学びに共通していたのは、目的を明らかにする事がどんな場面であっても大切であるという事です。
目的が曖昧なまま「何をするのか」を決めてしまうと、「できることの羅列」になってしまい、一貫したストーリーがなく誰にも刺さらないちぐはぐな体験設計になってしまいます。「どういう状態を目指していて、そのために何をするのか?」を明確にすることがどんな場面でも大切です。
目的が明確であることで全体を俯瞰することができ、一貫したストーリー設計が実現できます。また、目的が明確であることで方向性のズレを検知でき、振り返りがしやすく、PDCAをしっかり回すことができます。そのために、「なぜやるのか」を常に考え、周囲を巻き込み多角的な視点を取り入れて、本当の課題を解決できる目的設定になっているのか、1つ1つ確認し続けたいと思います。
失敗を通してたくさんの学びを得られた社会人1年目。ビズリーチには、普段の業務のほかにも、このような成長の機会がたくさんあります。2年目も、失敗を恐れることなくチャレンジし続け、さらなる成長を遂げられるように頑張ります!
※2022年6月7日、「ビズリーチ・サクシード」は、サービス名を「M&Aサクシード」に変更しました。