
企業の進化に変化をもたらす「融ける“デザインのチカラ”」
“Design is too important to be left to designers.” —— デザインはデザイナーだけに任せるには重要すぎる 「口紅から機関車まで」さまざまなデザインを手がけたレイモンド・ […]
こんにちは!即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」でデザイナーをしております、新卒の高野です。
私たち新卒デザイナーは、4月から約3ヶ月の研修期間を経て、7月に現場配属されました。
研修は、教育をメイン事業とする企業と連携して行われ、デザインの基礎的な知識をはじめ、フロントエンドエンジニアリングからスマートフォンアプリケーションのデザインまで、デザイナーに必要なスキルや知識を網羅的に学ぶことができました。
デザイナー研修の様子は、以下の記事をご覧ください。
次世代のデザイナーを輩出する育成の仕組みは日本でつくれるのか?
今回は、新卒の視点からビズリーチのデザイナー研修を振り返り、その中で得た3つの学びをご紹介します。デザイナーを目指す学生さんに、少しでも役立つ情報がお届けできれば幸いです。
物作りが好きな方なら、誰もが「よくあるデザインではなく、自分にしか作れないものを作りたい!」と意気込んだ経験があるかと思います。わたしも研修当初はそう考えていました。
しかし、「よくあるデザイン」とはそんなに簡単なものなのでしょうか?
「守破離」とは、剣道や茶道などの修業における個人のスキルを3つの段階で示したものです。
「守」:師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。
「破」:他の師や流派の教えについても考え、心技を発展させる段階。
「離」:一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。
(参考:コトバンク)
「よくあるデザイン」は、見方を変えれば「デザインの型=守」に忠実に作られているということです。3ヶ月間のデザイナー研修を通して、この型を身に付けることがいかに難しいかを学びました。
研修の中でも特に印象に残っているのが名刺制作です。
課題は 「装飾は一切使わず、文字だけでどうその人を表現するか。」
制約の大きい課題の中、
などの学びを得ることができました。
以下は、実際に私が研修で制作した名刺です。
文字だけのシンプルな名刺ですが、空間の取り方を丁寧にするように気をつけたため、洗練された印象に仕上がってたのではと思っています。
(名前とメールアドレスは架空の人物です)
「守」がなければシンプルで美しいデザインは作れません。
自分にしか作れないデザインを作ろうと「破」や「離」に急ぐのではなく、まずは地道に基礎力を身につけることが大切だということを学びました。
良いデザインに「なんとなく」は存在しません。必ず全ての要素に理由があります。
例えば「かっこいいからこの色にした」という理由は、「かっこいい」という言葉の定義が曖昧です。
そういった場合、
など、「なぜ?」を繰り返すことで理由の解像度を高めていきます。
研修では、「なぜこのフォントなのか?」「なぜここに線が必要なのか?」など、制作物のありとあらゆる要素に理由を求められました。
その結果、自分では考えているつもりでも、本当に細かいところまでは理由を具体化できていなかったことに気がつきました。
曖昧なデザインをしないためには「デザインを因数分解して見る目」が必要です。
研修では、デザインを見る目を養うために「好きなデザインプレゼン」が毎週行われ、日々「良い」と思うデザインを分解してみる癖がつきました。
デザインを分解する目は一朝一夕で身につくものではありません。
例えば街を歩いている時でも「なぜこの色を気持ちいいと感じるのか?」「なぜこの文字組みは綺麗なのか?」など、理由を具体化して考え、デザインを見る目を鍛えるようにしています。
物作りをする上で、常に「今できる最高のものを作ろう」と意識している方は多くいらっしゃるかと思います。そうして自分が一生懸命考えて作ったデザインには愛着が湧いてしまうもの。
しかしそこに固執してしまうと、現状のデザインが「より良いもの」になる可能性を潰してしまう可能性があります。
研修中も、現状のデザインをなかなか捨てることができず、最終的に改善が遅くなり納得のいかないものが出来てしまうことがありました。
そんな時講師の方々にいただいたのが、
「プロは捨てることを恐れない」
という言葉。
この言葉をいただいて以来、講師の方々や先輩になるべく多くのレビューをもらいに行き、積極的に「捨てる勇気」を持つようになりました。
その結果、
など、多くのメリットを感じることができました。
中でも大きな変化は、
「レビューは自分を否定するものではなく、今のデザインをよくするための最高のヒントである」
と考えられるようになったことです。
「捨てる勇気」を持ち続けることは、より良いデザインを模索し続けること。
現状に固執して踏みとどまっていることに気づいたら、思い切って捨ててみると新しい道が見えてきます。
デザイナー研修を通して、受講前とは大きく視点が変わったことを感じます。
デザインに関するスキルや知識はもちろんのこと、考え方についても学びの多い3ヶ月間でした。
研修のオリエンテーションで研修担当の先輩からの
「この研修を通して、プロのデザイナーとして自信のある一歩を踏み出してほしい」
との言葉通り、まさにこの研修を通して得た学びは現場に配属されてからの自信になっています。
まだまだ「良いデザイン」ができるようになるまでの道のりは長いですが、これら3つの学びを胸に、プロのデザイナーを目指して成長し続けます。
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おわりに、最終課題で制作したウェブサイトをキャプチャでご紹介します。「ビズリーチのデザイナー研修を紹介する」ことを目的に、2週間でコンセプト策定・デザイン・コーディングまでそれぞれが行いました。