
企業の進化に変化をもたらす「融ける“デザインのチカラ”」
“Design is too important to be left to designers.” —— デザインはデザイナーだけに任せるには重要すぎる 「口紅から機関車まで」さまざまなデザインを手がけたレイモンド・ […]
こんにちは!OB/OG訪問ネットワーク「ビズリーチ・キャンパス」でUIデザインを担当しています、デザイナーの鹿島です。
2017年7月、ビズリーチのオフィス内にデザイナーのための図書館『BIZREACH CREATIVE LIBRARY』が誕生しました!
今回は、何故オフィス内に図書館をつくったのか、どのような空間なのか、どのようなプロセスで図書館をデザインしたのかについてご紹介したいと思います。
『BIZREACH CREATIVE LIBRARY』は、ずばり“デザイナーのための図書館”です。
扱う書籍は広い意味でデザインに関係するもの。本棚の隣にはパントーンや文房具などが完備され、紙を使ったプロトタイプ制作などのデザイン作業をすることができる「デザイン工房」でもあるので、書籍を参照しながら制作作業をすることができます。
デザイン工房
また、デザイナー以外の人にもデザインについて知ってもらいたいという想いから、現在は職種関係なく貸出が可能になっています。
バリスタが入れるドリップコーヒーが飲めるコーヒースタンドのすぐ隣にあるので、ちょっとコーヒーを飲みながら、ビジネスやエンジニアリングにも役立つ、デザイン思考やデザインスプリントなどの知識をインプットすることもできます。
ビズリーチカフェ
本を紹介するデジタルサイネージ
なぜ、デザイン書籍だけを扱う図書館を作ったのか。
考案者の田中にデザイン戦略上の背景を聞きました。
田中:「デザインの力で、世の中により価値ある事業と変革をもたらしていきたい。その活動の中で、事業会社におけるインハウスデザイナーの未来の選択肢と可能性を広げたい。インハウスデザイン業界をより良い方向に前進させたい。」
その想いを形にするために、ビズリーチはこの春「デザインの力を高める年」と銘打って、企業としてデザインとデザイナーに注力をする意思決定をし、デザイン戦略の取り組みを開始しました。
「デザイナーが仕事を通じて成長できる機会と環境を、企業として約束する。」これはビズリーチにおけるデザイン戦略の要となる考え方です。
事業会社のデザインは、関わる事業ドメインが限定されることや、ビジネスやサービスが前提にあることで、下記のような沢山の偏見があると思っています。
ですが本来、事業会社はデザイナーにとって事業づくりとデザインを通してあらゆることにチャレンジ出来る環境です。そして、あらゆるチャレンジを通じて、学習や成長の機会を大きく得られる場でもあります。
事業会社でしか得られない経験やキャリア、成長の機会を最大化するために、事業づくりに没頭するだけでは得づらいデザインの共通知識を、デザイナーもそうでない職域のメンバーも、正しく等しく得られる機会と環境を用意し、実際の事業づくりやデザインを通じて体現するというサイクルが生まれるよう意識しています。
そうすることで結果的に、インプットも実践的なアウトプットを前提とした、質の高いものになると考えています。
「デザインの図書館」はデザイナーのキャリアと成長を支える「質の高いインプットの機会」を、企業としてサポートする取り組みのひとつです。
このような想いを実現すべく発足した図書館プロジェクトには、全社のデザイナー・フロントエンドエンジニアから有志の6名が集いました。
【MUST要件】
【WANT要件】
次に、あげられた要件からどのような図書館をつくるのかを決めていきました。
上記を実現するために議論し、以下のように仕様を決定しました。
場所検討の際に、スケッチを描いてイメージを膨らませる
最初はミニマムで運用を開始しようということで、専用のアプリケーションや場所を用意する前に、仮の図書館と仮の運用ルールを定めて、先に公開することにしました。
こうすることで、まだ完璧な運用でないにしろ「いち早く本を借りたい」と思っているデザイナーに対して、本の貸出を行うことができました。仮の図書館が開館したのは4月21日。キックオフから2週間ほどのことです。
仮設の図書館
運用を効率的に行うアプリケーションを検討した結果、貸出や返却、延滞状況はもちろん、新しい本の登録や稟議書の作成、「こんな本があったらいいのにな」という購入してほしい本のリクエストまで可能な、書籍管理アプリケーションが完成しました。
書籍管理アプリケーション
『BIZREACH CREATIVE LIBRARY』では一体どのような書籍が人気なのでしょうか?社内のデザイナーに多く借りられているベスト3をご紹介します!
情報建築家(インフォメーション・アーキテクト)の第一人者アビー・コバートによる、「しっちゃかめっちゃか」への処方箋。あらゆるビジネスにおける問題解決のベースとなる〈情報設計〉のエッセンスを、7つのステップをたどりながらやさしく手ほどきします。錯綜した情報や複雑さに立ち向かい、それらを解きほぐして整頓するための考え方と心構えが身につく一冊。IA、UXデザイン、コンテンツ・ストラテジーへの最良の入門書です。(引用:Google Books)
「デザイン=楽しい」を実感できる!デザイナーのあたまの中を豊富なビジュアルでひも解く。(引用:Google Books)
元・IDEO 東京支社長 深澤直人氏 推薦! 「Design Thinking、それは『デザイナーのごとく考えること。適正解を導き出す魔法のような力だ! 』」 人々のニーズを探り出し、飛躍的発想で生活を豊かにする――それが「デザイン思考」だ。研究や開発部門だけでなく全社的に浸透させれば、組織は持続的にイノベーションを生み出すことができる! その推進役として名を馳せたデザイン・ファームIDEO。そのCEOが、デザインとイノベーションの必要性を熱く語り、組織を蘇らせる方法や社会的問題を解決するための秘訣を経験談ともに明かす。(引用:Google Books)
実際に『BIZREACH CREATIVE LIBRARY』を利用しているデザイナーの意見を集めました。
仮設図書館の頃から足繁く通っていました。カフェ内に併設されているため、ゆったりした空間で一人でもくもく作業したいときや、気分転換して新しいアイディアを考えたいときなどに最適です。(ビズリーチ UIデザイナー 西尾)
この図書館では、タイポグラフィや配色等のグラフィック面だけでなく、思考やブランディングなど、デザインについての知識を幅広く身につけることができるため、ものづくりに根幹から関わるビズリーチのデザイナーにとって、非常に価値のある環境だと思っています。(キャリトレ UIデザイナー 臼倉)
このように、図書館に対する好意的な声は多くあげられ、デザイナーの制作環境は図書館が開館して大きく向上しました。
「デザイナーのための図書館」は、デザインの共通知識を正しく等しく得られる機会と環境を提供します。今まで事業会社では得づらかった知識を補うことで、結果的にデザインの力で事業にインパクトを与えられるようになるのではないでしょうか。
まだ『BIZREACH CREATIVE LIBRARY』は発展途中です。今後も「質の高いインプットの機会を提供するにはどうしたらいいか」を合言葉に、ビズリーチならではの「デザイナーのための図書館」をパワーアップさせていきたいと思います。